専門家コラム
東証REIT指数からみる市況と不動産の関連性
COLUMNIST PROFILE
吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
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東証REIT指数とは、東京証券取引所に上場する全REIT(不動産投資信託)で構成される指数で、時価総額加重平均により算出されています。実物不動産の取引価格は、成約からデータとして公表されるまでに数か月のタイムラグが生じますが、東証REIT指数はリアルタイムでその時々の市況を反映します。
そのため、実物不動産への投資を行う人にとって、東証REIT指数を把握しておくことは、足元の市場環境を確認するうえで有効であるだけでなく、今後の動向を見通すうえでも参考となる重要な指標のひとつと言えるでしょう。
今回は、2026年2月末時点の東証REIT指数を丁寧に読み解き、不動産市況との関連性について解説します。
- 目次
- 東証REIT指数(全体)
- まとめ
東証REIT指数(全体)
東証REIT指数の推移(2012年~)
上のグラフは2012年以降の東証REIT指数の推移を示したものです。2026年2月末の東証REIT指数の終値は1,999.33ポイントとなり、前月末比+1.06%の上昇となりました。2025年終盤に市場の節目である2,000ポイント台を回復して以降、足元は比較的安定した推移が続いています。
もっとも、2月は国内外の情勢を背景に、株式市場では大きな動きが見られました。国内では、2月上旬の衆議院選挙における自民党の大勝を受け、高市政権の政策推進への期待を背景に株式市場が上昇しました。TOPIXは終値ベースで+10.44%と大幅に上昇した一方、REIT指数は株式市場の上昇に追随せず、2,000ポイント手前での小幅な動きにとどまっています。
一方、海外に目を向けると、2月中旬以降は中東の地政学リスクの高まりを背景に、金融市場全体に不透明感が広がりました。現時点では東証REIT指数への影響は限定的ですが、不透明感が解消されるまでは上値の重い展開が続く可能性があり、今後の動向には引き続き注視が必要です。
また、個別銘柄の動向を見ると、全58銘柄のうち36銘柄が上昇、20銘柄が下落、2銘柄が横ばいとなりました。
続いてセクター別の動向について見ていきます。今回は、オフィス・住宅・商業・物流等の3セクターに着目して解説します。
オフィス指数
オフィス指数の2月の終値は1,977.48ポイントとなり、前月末比+1.5%の上昇となりました。オフィスは、J-REIT全体の保有不動産において約3~4割(取得価格ベース)を占めており、東証REIT指数全体もオフィス指数の影響を受けやすい構造となっています。
また、テナントの契約期間が比較的短いことから、景気変動との連動性が高いアセットとされています。
今後の見通しとしては、建築費や人件費の高騰に伴う新規開発の遅延により、供給の抑制が見込まれています。こうしたなかで需要が底堅く推移すれば、オフィス銘柄のさらなる収益成長が期待される状況にあると考えられます。
住宅指数
住宅指数の2月末の終値は3,274.99ポイントとなり、前月末比+1.43%の上昇となりました。住宅はオフィスと比較して景気変動の影響を受けにくく、ディフェンシブ性の高いセクターと位置付けられています。そのため、前述の国内外の不透明な環境下においても、安定した推移を維持しています。
また、近年の賃料上昇トレンドは、今後も住宅指数を下支えする要因の一つと捉えることができるでしょう。
商業・物流等指数
商業・物流等指数の2月末の終値は2,397.09ポイントとなり、前月末比+0.63%の上昇となりました。商業および物流は、それぞれ異なる特性を持つセクターで構成されていますが、当月は大きな変動は見られず、全体としては比較的安定した推移となりました。
まとめ
REIT指数は相対的に大きな変動が少ない特性を有していますが、2026年2月の東証REIT指数は、市況が大きく動いた局面においても落ち着いた推移にとどまり、改めてその安定性の高さが確認される結果となりました。
セクター別に見ても、オフィスおよび住宅は堅調に推移し、商業・物流等についても大きな崩れは見られず、全体として底堅い動きが続いています。
今後も不動産市況を的確に捉えるためには、東証REIT指数をはじめとする各種データを継続的に分析していくことが重要です。こうした分析の積み重ねが、より適切な投資判断につながると言えるでしょう。
- ご留意事項
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不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。
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