東京都区部の中古戸建て成約件数が前年同月比3割超の増加
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月10日、2024年9月度首都圏(一都三県)不動産市場の動向を発表しました。中古マンション、中古戸建ともに成約価格は上昇しました。成約件数は、中古マンションが3ヵ月連続の減少となった一方で、中古戸建ては前年同月比+16.6%と大幅に増加しました。とくに東京都区部の増加が目立ちます。
首都圏中古マンション
項目 | 2024年9月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 75.86万円/㎡ | +4.7% |
件数 | 3,047件 | -4.5% |
価格 | 4,861万円 | +5.3% |
専有面積 | 64.09㎡ | +0.5% |
築年数 | 24.87年 | +0.88年 |
在庫件数 | 45,403件 | -1.9% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2024年9月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+4.7%の「75.86万円/㎡」でした。成約平米単価は53カ月連続で上昇しているものの、成約件数は3ヵ月連続で減少しています。価格の上昇幅も、以前と比べると落ち着きが見られ始めています。
エリア | 2024年9月成約㎡単価前年同月比 | 2024年9月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +11.2% | -11.7% |
東京都多摩 | +7.4% | -15.0% |
横浜・川崎市 | +0.1% | -1.8% |
上記除く 神奈川県 |
+1.1% | +13.1% |
埼玉県 | +7.4% | -4.1% |
千葉県 | +5.4% | +19.9% |
(参考:東日本不動産流通機構)
前年同月比成約平米単価はすべてのエリアで上昇しましたが、東京都区部および多摩の成約数の減少幅は、同-10%以上。大きく成約数を減らしています。一方、横浜・川崎市を除く神奈川県と千葉県の成約件数は、同+10%以上と大きく数を増やしています。
首都圏中古戸建
項目 | 2024年9月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 4,061万円 | +3.5% |
件数 | 1,281件 | +16.6% |
土地面積 | 139.66㎡ | +0.1% |
建物面積 | 103.71㎡ | -0.6% |
築年数 | 22.05年 | +0.75年 |
在庫件数 | 22,347件 | +17.8% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2024年9月に成約した首都圏中古戸建の平均価格は、前年同月比+3.5%の「4,061万円」でした。成約件数は、同+16.6%と大幅増。成約価格の上昇は8ヵ月連続、成約件数の増加は4ヵ月連続です。在庫件数は長らく増加し続けていますが、成約数が増加していることもあって、徐々に増加スピードが緩やかになってきています。
エリア | 2024年9月成約㎡単価前年同月比 | 2024年9月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +4.7% | +32.2% |
東京都多摩 | -4.6% | +21.2% |
横浜・川崎市 | +1.2% | +9.1% |
上記除く 神奈川県 |
+7.6% | +3.0% |
埼玉県 | +1.2% | +7.8% |
千葉県 | -4.2% | +21.3% |
(参考:東日本不動産流通機構)
前年同月比成約件数は、すべてのエリアで増加しました。とくに東京都区部、多摩、千葉県は、+20%以上と著しく増加しています。一方、成約件数の増加率が高い東京都多摩と千葉県では、成約価格が下落しています。成約数が減少している中古マンションと比べても各地の上昇幅は総じて小さいことから、成約件数の増加に比例して価格が上がっているわけではないようです。
“注目”の不動産ニュース
「東京ゼロエミ住宅」10月から基準引き上げ

(出典:東京都「『東京ゼロエミ住宅』とは?」)
東京都では、高断熱で人にも地球にも優しい「東京ゼロエミ住宅」を推進しています。2024年10月1日から同住宅の基準が引き上がり、助成額も改訂されました。
「上位水準」を新設。再エネ設備も原則設置に

(出典:東京都「『東京ゼロエミ住宅』とは?」)
今回の改正では、これまで最高位だった「水準3」を上回る「水準A」が新設されました。新基準は、最も基準が低い「水準C」も、外皮平均熱貫流率は0.60以下、再エネ等を除いた省エネルギー基準からの削減率は30%以上です。国が定めるZEH基準は、外皮熱貫流率が0.60以下、再エネ等を除いた省エネルギー基準からの削減率は20%以上、再エネ等を含む削減率は100以上。東京ゼロエミ住宅も改正以降、原則、太陽光発電設備などの再エネ設備の設置が義務づけられたことから、ZEHと同水準かそれ以上の基準といえるでしょう。
助成額の上限も引き上げ

(出典:東京都「『東京ゼロエミ住宅』とは?」)
基準の見直しに合わせ、助成金額も改訂されました。こまでの「水準1」「水準2」が統合された「水準C」および「水準3(現行「水準B」)」は金額引き上げとはいえませんが、新設された「水準A」の助成金額は戸建住宅が240万円、新築住宅等が200万円と、これまでの助成金額上限をそれぞれ30万円上回っています。
東京ゼロエミ住宅の助成事業は、国による次の補助事業との併給も可能です。
- 子育てエコホーム支援事業
- 地域住宅グリーン化事業
- 子育て支援型共同住宅推進事業 など
ただし、次の事業などとは併給不可となっているためご注意ください。
- 戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)化支援事業
- 次世代ZEH+実証事業
- 集合住宅のCO2化促進事業(ZEH-M)
- LCCM住宅整備推進事業
- 高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費 補助金(給湯省エネ事業) など
東京都では、2025年4月から太陽光発電設置義務化に関する新たな制度が開始。大手ハウスメーカー等が供給する新築住宅等が、義務化の対象となる予定です。