中古マンション、中古戸建ともに成約件数が二桁増
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は2月10日、2025年1月度首都圏(一都三県)不動産市場の動向を発表しました。中古マンション、中古戸建ともに成約件数が大幅増。成約価格についてはマンションが大きく上昇した一方で、中古戸建は3ヶ月ぶりに前年同月を下回りました。
首都圏中古マンション
項目 | 2025年1月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 81.88万円/㎡ | +7.8% |
件数 | 3,242件 | +19.6% |
価格 | 5,147万円 | +5.9% |
専有面積 | 62.86㎡ | -1.7% |
築年数 | 25.73年 | +2.2年 |
在庫件数 | 45,478件 | -4.2% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2025年1月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+7.8%の「81.88万円/㎡」。バブル期の1990年11月の水準を上回っています。新規登録平米単価も同15.5%増と大幅に上昇していることから、価格が落ちる兆しは見られません。成約件数も、同+19.6%と大幅に増加しています。
エリア | 2025年1月成約㎡単価前年同月比 | 2025年1月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +13.7% | +17.8% |
東京都多摩 | -4.5% | +15.0% |
横浜・川崎市 | +3.8% | +22.1% |
上記除く 神奈川県 |
-7.5% | +28.6% |
埼玉県 | -2.5% | +21.8% |
千葉県 | +4.9% | +20.0% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約件数は全域で大きく増加していますが、成約価格の上がり幅については地域差が見られます。価格が上昇したのは、東京都区部、横浜・川崎市、千葉県のみ。東京都区部は、成約平米単価も成約件数も二桁増です。東京都の成約価格の上昇は、2020年5月から57ヶ月連続です。
首都圏中古戸建
項目 | 2025年1月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 3,785万円 | -0.5% |
件数 | 1,279件 | +33.0% |
土地面積 | 144.73㎡ | +1.8% |
建物面積 | 103.29㎡ | +0.3% |
築年数 | 23.41年 | +2年 |
在庫件数 | 23,451件 | +13.5% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2025年1月に成約した首都圏中古戸建の平均価格は、前年同月比-0.5%の「3,785万円」。ほぼ横ばいですが、3ヶ月ぶりに前年同月を下回りました。一方、成約件数は同+30%を超える大幅増となりました。成約件数の増加は3ヶ月連続です。
エリア | 2025年1月成約㎡単価前年同月比 | 2025年1月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | -3.5% | +33.1% |
東京都多摩 | +8.1% | +38.8% |
横浜・川崎市 | +6.4% | +46.8% |
上記除く 神奈川県 |
-7.6% | +32.8% |
埼玉県 | -7.7% | +35.9% |
千葉県 | -1.6% | +19.4% |
(参考:東日本不動産流通機構)
中古マンション同様、全域で成約件数が大幅に増加していますが、やはり成約価格の上がり幅には地域差があります。上昇したのは東京都多摩、横浜・川崎市のみで、その他のエリアは下落。東京都区部の下落は、3ヶ月ぶりです。
“注目”の不動産ニュース
日本銀行、再びの利上げ。住宅ローン金利の行方は
日本銀行は1月24日、政策金利を0.25%程度から0.5%程度まで引き上げました。日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、同年7月に政策金利を0.1%程度から0.25%程度に引き上げています。
2024年の利上げ後は一部金融機関が変動金利を引き上げ
2024年7月の利上げを受け、大手を含む一部の金融機関は短期プライムレートを引き上げ、10月頃に変動型の住宅ローン金利を引き上げました。短期プライムレートの引き上げは、実に17年ぶりのことでした。
引き上げ幅は金融機関によって異なりますが、0.15%前後。金利を据え置いた金融機関も見られたため、現在の変動型住宅ローンの金利水準は0.3%〜0.6%程度となっています。
4月に変動型住宅ローンの金利ももう一段上昇か
金融機関の多くは、10月と4月に変動型住宅ローンの基準金利を見直します。そのため、4月には金利を引き上げる金融機関も一定数見られるものと推測されます。1月の利上げ幅は0.25%程度と、昨年7月の利上げ幅より大きく、一部の金融機関の住宅ローン金利も同様に0.25%前後の引き上げとなる可能性があります。
近年は、固定型の住宅ローン金利も上昇傾向にあります。2月にも、大手5行が10年固定型の金利を引き上げると発表。今後も、当面は変動型、固定型ともに、金利上昇局面が続くものと見られます。
近年は建築コストも高騰傾向にあり、光熱費などあらゆるものの値段が上がっているため、不動産の取得や維持・管理に加え、家計の負担も増える一方です。不動産購入時の資金計画の重要性は、これまで以上に増しているといえるでしょう。