中古戸建ての成約件数、前年同月比1.4倍以上
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は3月10日、2025年2月度首都圏(一都三県)不動産市場の動向を発表しました。先月に続き、中古マンション、中古戸建ともに成約件数が大幅に増加。中古戸建は、前年同月比+44.8%増となりました。
首都圏中古マンション
項目 | 2025年2月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 79.14万円/㎡ | +4.8% |
件数 | 4,152件 | +23.9% |
価格 | 4,985万円 | +2.6% |
専有面積 | 62.99㎡ | -2.1% |
築年数 | 26.04年 | +2.84年 |
在庫件数 | 45,214件 | -5.1% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2025年2月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+4.8%の「79.14万円/㎡」。価格上昇は58ヶ月連続です。成約件数も同+23.9%と大幅増となりました。成約件数は1月も二桁増となっていたことから、増加基調がうかがえます。それに伴って、在庫物件の減少スピードも加速しています。
エリア | 2025年2月成約㎡単価前年同月比 | 2025年2月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +6.1% | +31.1% |
東京都多摩 | -5.7% | +22.0% |
横浜・川崎市 | -2.3% | +24.5% |
上記除く 神奈川県 |
-8.8% | +24.4% |
埼玉県 | -4.5% | +18.0% |
千葉県 | +0.3% | +5.2% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約件数は先月に続き全域で大幅に増加していますが、東京都区部と千葉県意外は成約㎡単価が下落しています。首都圏全域と同様、58ヶ月連続で価格が上昇しているのは東京都区部のみです。それ以外のエリアでは、上下を繰り返しながら高止まりしているようです。
首都圏中古戸建
項目 | 2025年2月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 3,920万円 | +0.6% |
件数 | 1,690件 | +44.8% |
土地面積 | 145.81㎡ | +6.2% |
建物面積 | 104.33㎡ | +2.0% |
築年数 | 23.40年 | +2.1年 |
在庫件数 | 23,698件 | +11.4% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2025年2月に成約した首都圏中古戸建の平均価格は、前年同月比+0.6%の「3,920万円」でした。価格はほぼ横ばいですが、成約件数は同+44.8%と中古マンションを超える増加率を見せています。成約件数は1月も、同+30%を超える大幅増。中古マンション同様、増加基調が続いています。
エリア | 2025年2月成約㎡単価前年同月比 | 2025年2月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +7.4% | +46.1% |
東京都多摩 | -8.1% | +34.7% |
横浜・川崎市 | -4.4% | +55.7% |
上記除く 神奈川県 |
+0.6% | +64.1% |
埼玉県 | -6.9% | +25.5% |
千葉県 | +2.1% | +54.7% |
(参考:東日本不動産流通機構)
全域で成約件数が大幅に増加しており、神奈川県、千葉県では増加率が50%を超えています。一方、成約価格についてはマンション同様、東京都区部を除き大幅な上昇は見られず、下落したエリアもあります。とはいえ、東京都区部についても中古マンションのように継続的に価格が上がっているわけではなく、中古戸建てについては全域で高止まりの様子が見られます。
“注目”の不動産ニュース
マンションの管理・再生を円滑化するための改正案が閣議決定
国土交通省は3月4日、区分所有法やマンション建て替え円滑化法、マンション管理適正化法など、マンションに関連する法律の改正案を盛り込んだ「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定したと発表しました。
改正の背景
政府がマンションの管理や再生を円滑化するための法改正に踏み切った背景には、高経年マンションの増加があります。建物だけでなく、マンションに住む居住者の老いも進行しており、外壁の剝落などの危険や決議の困難化などが危惧されています。マンションの健全な維持・管理の円滑化は喫緊の課題であり、かねてから法改正などが議論されていました。
改正案の主な内容
改正案には、マンションの建て替えや取り壊し、売却、改修のハードルとなっている決議要件の緩和などが盛り込まれています。現行制度では、建物の取り壊し・売却・リノベーションには区分所有者すべての同意が必要ですが、改正案では5分の4に緩和されます。
所在などがわからない所有者は、裁判所が認めれば決議の母数から除外できるようになります。建て替え決議については、原則的に従来どおり多数決要件は5分の4ですが、耐震性の不足などが認められる場合は4分の3に緩和されます。
他、改正案には、地方公共団体の取り組みを充実させるため、区分所有者の意向把握、合意形成の支援などの取り組みを行う民間団体の登録制度を創設することなどが盛り込まれています。法案が成立すれば、2026年4月にも一部が施行される見込みです。