成約件数、中古マンション・中古戸建ともに大幅増
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月10日、2025年3月度首都圏(一都三県)不動産市場の動向を発表しました。中古マンション、中古戸建ともに成約件数が大幅に増加しました。とくに中古戸建は、前年同月比+60%を超える大幅増です。一方、成約価格は東京都を除くすべてのエリアで、中古マンション、中古戸建ともに下落しています。
首都圏中古マンション
項目 | 2025年3月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 79.01万円/㎡ | +4.1% |
件数 | 4,991件 | +31.0% |
価格 | 4,945万円 | +2.6% |
専有面積 | 62.58㎡ | -1.5% |
築年数 | 26.58年 | +2.63年 |
在庫件数 | 43,941件 | -5.2% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2025年3月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+4.1%の「79.01万円/㎡」でした。成約平米単価は59ヶ月連続の上昇です。一方、成約件数は同+31.0%と大幅増。2025年に入ってから二桁増が続いています。
エリア | 2025年3月成約㎡単価前年同月比 | 2025年3月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +11.2% | +28.4% |
東京都多摩 | +5.2% | +30.6% |
横浜・川崎市 | -4.3% | +33.2% |
上記除く 神奈川県 |
-9.2% | +51.3% |
埼玉県 | -4.8% | +30.2% |
千葉県 | -7.5% | +28.4% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約件数はすべてのエリアが大幅増。横浜・川崎市を除く神奈川県の前年同月比増加率は、50%を超えています。一方、成約平米単価が上昇したのは東京都のみでした。東京都区部の上昇は59ヶ月連続、多摩の上昇は3ヶ月ぶりです。全域で成約件数の大幅増が続いていますが、東京都区部を除き、価格上昇と比例しているわけではありません。
首都圏中古戸建
項目 | 2025年3月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 4,030万円 | -2.6% |
件数 | 2,196件 | +62.8% |
土地面積 | 144.91㎡ | -0.2% |
建物面積 | 103.85㎡ | -1.2% |
築年数 | 24.03年 | +2.68年 |
在庫件数 | 23,525件 | +10.1% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2025年3月に成約した首都圏中古戸建の平均価格は、前年同月比-2.6%の「4,030万円」。成約件数は同+60%を超える大幅増となりました。2025年に入ってから成約価格はほぼ横ばいで推移していますが、成約件数は+30%を超える増加率を維持しています。
エリア | 2025年3月成約㎡単価前年同月比 | 2025年3月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +6.5% | +59.1% |
東京都多摩 | -2.6% | +49.5% |
横浜・川崎市 | -6.0% | +71.9% |
上記除く 神奈川県 |
-14.6% | +95.1% |
埼玉県 | -5.9% | +72.3% |
千葉県 | -7.6% | +44.9% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約件数はすべてのエリアが大幅増。一方、成約価格は、東京都区部を除き下落しました。中古マンション同様、多くのエリアで成約件数の大幅増が価格上昇に結びついていないようです。東京都区部についても、中古マンションのように価格が上昇し続けているわけではなく、横ばいから微増といった様相です。
“注目”の不動産ニュース
フラット35「中古プラス」創設
住宅金融支援機構は4月、フラット35「中古プラス」の提供を開始しました。
良質な中古住宅の借入金利引き下げ
フラット35「中古プラス」とは、同機構が定める技術基準に適合する中古住宅の取得に際してフラット35を利用する場合、当初5年間の金利を年0.25%引き下げるものです。中古マンション、中古戸建ともに対象となっています。
従来のフラット35の物件検査に加え、次の検査箇所を目視で確認できる範囲で劣化などがないことが確認されます。
検査箇所 | 技術基準 | ||
---|---|---|---|
一戸建て等 | マンション | ||
住戸内 | 床 | - | 著しい沈み、仕上げ材の割れ、欠損、剥がれがないこと |
天井 | 仕上げ材の著しい割れ、欠損、剥がれ、腐食、漏水の跡がないこと | ||
階段 | 構造体、路面の著しい沈み、欠損、腐食等がないこと、手すり等の著しいぐらつき、腐食がないこと | ||
バルコニー | 手すり等の著しいぐらつき、腐食がないこと | ||
雨樋 | 破損がないこと | ||
屋外に面する開口部 | 建具周囲に隙間、建具の著しい開閉不良がないこと、手すり等の著しいぐらつき、腐食がないこと | ||
給排水・給湯設備 | 給排水管の接続部分、トラップ周辺に漏水または漏水の痕跡がないこと |
中古住宅取得を後押しする新たな制度改正も
4月からは、フラット35「中古プラス」の創設とともに、フラット35「リノベ」にも改正が加えられました。これまで、当初5年間の金利が年1.0%引き下がる「Aプラン」はリフォーム工事300万円以上が対象、当初5年間の金利が年0.5%引き下がる「Bプラン」はリフォーム工事200万円以上が対象となっていましたが、いずれも工事金額要件がなくなります。
そして10月からは、最長50年の全期間固定金利の住宅ローン「フラット50」の融資対象住宅が、予備認定マンション、管理計画認定マンションまで広がります。現在は長期優良住宅のみが対象となっていますが、管理状態が良好なマンションにまで拡大する形です。
2025年度のフラット35の改正は、全体的に良質な中古住宅の流通を後押しする内容になっています。同機構は、不動産価格の高騰に加え、金利環境の見通しの変化から中古住宅のニーズが高まっている状況を踏まえ、良質な中古住宅を安心して取得できる環境を整備したい考えです。