中古マンション・戸建ともに成約数大幅増が続く 価格は東京都区部以外で軟調
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は5月12日、2025年4月度首都圏(一都三県)不動産市場の動向を発表しました。成約件数は、中古マンション、中古戸建ともに前月に続き大幅に増加。一方、成約価格は東京都区部の中古マンションを除き、横ばいから下落傾向にあるようです。
首都圏中古マンション
項目 | 2025年4月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 81.11万円/㎡ | +3.9% |
件数 | 3,950件 | +21.5% |
価格 | 5,047万円 | +0.6% |
専有面積 | 62.22㎡ | -3.2% |
築年数 | 26.45年 | +2.33年 |
在庫件数 | 44,008件 | -4.4% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2025年4月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+3.9%の「81.11万円/㎡」でした。成約平米単価は、ついに60ヶ月連続の上昇です。成約件数は、同+21.5%の大幅増。成約件数の二桁増は4ヶ月連続。新年度を迎えても減ることはなかったようです。
エリア | 2025年4月成約㎡単価前年同月比 | 2025年4月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +10.4% | +18.5% |
東京都多摩 | -4.8% | +19.9% |
横浜・川崎市 | -1.5% | +20.7% |
上記除く 神奈川県 |
-2.2% | +44.4% |
埼玉県 | +0.7% | +29.3% |
千葉県 | -6.8% | +17.7% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約件数は、すべてのエリアが大幅に増加しました。横浜・川崎市を除く神奈川県は、前月に続き、前年同月比増加率が40%を超えています。一方、成約平米単価は東京都区部を除き、マイナスもしくは微増に留まります。東京都区部の価格上昇は、首都圏と同様、60ヶ月連続です。
首都圏中古戸建
項目 | 2025年4月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 3,804万円 | -5.7% |
件数 | 1,777件 | +45.3% |
土地面積 | 151.06㎡ | +1.1% |
建物面積 | 102.09㎡ | -2.0% |
築年数 | 24.23年 | +1.97年 |
在庫件数 | 23,557件 | +9.5% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2025年4月に成約した首都圏中古戸建の平均価格は、前年同月比-5.7%の「3,804万円」でした。成約件数は、中古マンションを上回る同+45.3%の大幅増となりました。成約件数はここ数ヶ月、大幅に増加しているものの、成約価格は横ばいから下落傾向にあります。
エリア | 2025年4月成約㎡単価前年同月比 | 2025年4月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | -2.6% | +53.7% |
東京都多摩 | +1.2% | +35.7% |
横浜・川崎市 | -1.8% | +24.7% |
上記除く 神奈川県 |
-25.2% | +36.8% |
埼玉県 | -5.3% | +63.8% |
千葉県 | -4.1% | +46.2% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約件数は、すべてのエリアが大幅に増加しました。東京都区部、埼玉県は増加率が50%を超えますが、成約価格はほぼすべてのエリアで下落。横浜・川崎市を除く神奈川県は、前年同月比-25.2%の大幅下落となりました。
中古マンション、中古戸建てともに成約件数の大幅増が続いていますが、成約価格は中古マンションが東京都区部のみ上昇傾向が維持しており、中古戸建ては東京都区部を含むすべてのエリアが横ばいから微減で推移しています。
“注目”の不動産ニュース
「一次エネルギー消費量等級」の上位等級創設へ
国土交通省は4月、住宅性能表示制度における「一次エネルギー消費量等級」の上位等級として「7」および「8」を創設する方針を示しました。
一次エネルギー消費量等級とは?

(出典:国土交通省)
一次エネルギー消費量とは、建築物で使われている設備機器の消費エネルギーを熱量に換算した値を指します。冷暖房だけではなく、換気や給湯、照明なども含めた合計の値です。等級の数字が大きいほど、性能が高いことを示しています。
2025年4月から原則すべての新築住宅に義務づけられている省エネ基準は、一次エネルギー消費量等級4ですが、現在も上位の等級5、6があります。現在、検討されているのは、さらに上位の等級7、8の創設です。
2030年までに省エネ基準はZEH水準に引き上げ

(出典:国土交通省)
省エネ基準には、一次エネルギー消費量等級だけでなく「断熱等性能等級」の基準もあります。断熱等性能等級の省エネ基準は4。断熱等性能等級も省エネ基準は同じく等級4ですが、2022年、2023年に等級6、7が創設されています。
2030年には、省エネ基準がZHE水準にまで引き上げられる予定です。ZEH水準は、断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6。今回示された方針は、一次消費量等級も断熱等性能等級と同様に、次世代の省エネ委基準を上回る等級を創設するというものです。加えて、省エネルギー性能の等級を整理し、下位の等級をなくした新たな性能項目名称を創出する案も出ています。

(出典:国土交通省)