マーケットレポート
マーケットレポート2025, 8
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投資家の“期待利回り”に見るエリア別の不動産市場動向
5月末、一般財団法人日本不動産研究所より「第52回不動産投資家調査(2025年4月現在)」が発表されました。本調査は、日本の不動産投資市場における共通理解の深化を目的として、不動産投資市場の主要プレイヤーを対象に、投資に関する意識や動向を把握するために実施されたアンケート調査です。
本調査の中で注目したいのが「期待利回り」です。期待利回りはあくまで“期待値”であるため、実際の取引利回りよりも高くなる傾向がありますが、投資家がその時点の不動産市場をどのように捉えているかを示す重要な指標といえます。
増加する法人による賃貸住宅所有
東京の不動産について、期待利回りを用途別に見ると、2025年4月の調査では賃貸住宅(ワンルーム)のみが低下し、それ以外の用途はおおむね横ばいという結果となりました。
利回りの低下は、投資家の投資意欲が高く、同一条件下での価格上昇を意味します。商業施設については、集客力やブランド価値の高い物件が多く、安定志向の投資先として引き続き支持されていると考えられます。東京では、堅調な需要が背景にあり、投資対象としての“安心感”が引き続き評価されているといえるでしょう。
プロパティ別の期待利回り推移

エリアの特徴が出るプロパティ別の期待利回り
地域によって、用途別の期待利回りの順位には違いが見られます。たとえば東京では、商業施設の利回りが常に最も低く推移しており、近年ではオフィスも商業施設と同水準の利回りとなっています。これは、いずれも投資家からの人気が高く、安定した収益が見込めると評価されているためと考えられます。
一方、名古屋や大阪では、オフィスやロジスティクス分野への投資熱が高く、それらの利回りが相対的に低くなっています。再開発が期待されるエリアに対し、将来的な需要拡大を見込む投資家の姿勢が反映されているといえるでしょう。
また、福岡では賃貸住宅の期待利回りが他のエリアと比較して低めに位置しており、注目を集めています。コンパクトな都市構造や比較的安定した人口動態などが背景にあり、収益性と安定性のバランスがとれた投資対象として評価されていることがうかがえます。
このように、地域ごとの投資傾向には明確な違いがあり、投資家の視線がどこに向いているかを把握することは、今後の不動産投資戦略を立てる上で重要なヒントとなるでしょう。
エリア別 プロパティ別の期待利回り(2025年4月現在)の比較(2023年)

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