マーケットレポート
マーケットレポート2025, 12
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需給曲線では説明できない首都圏マンション価格の動き
こちらのコラム(https://www.livable.co.jp/fudosan-toushi/propertista/report/202512/index02.html)では、新規登録件数や在庫件数が、需要と供給の関係でいえば「供給」にあたることをお伝えしました。そこで今回は、新規登録件数と在庫件数に焦点を当て、首都圏中古マンション市場が持つ特殊な構造について見ていきます。
首都圏中古マンション 新規登録件数・在庫件数の推移
首都圏中古マンション 新規登録件数・在庫件数の推移
東日本レインズでは、11月半ば時点で約44,000件の中古マンションが登録されており、そのうち約35%にあたる約16,000件が新規登録件数となっています。
一方で、成約件数は月間4,000件前後にとどまるため、見方によっては供給過多のようにも映ります。
数年ごとに山と谷を形成する供給量
次に、新規登録件数と在庫件数を、季節要因の影響をならすために12か月移動平均で確認してみましょう。
新規登録件数の推移
在庫件数の推移
これを見ると、数年ごとに山と谷を繰り返していることがわかります。ただし、「○年ごと」といった明確な周期性があるわけではなく、規則的なサイクルとして説明できるものでもありません。
そこで重要になるのは、「この波が価格の動きにどの程度影響しているのか」という点です。
次に、新規登録件数と価格の関係を確認してみましょう。
需給曲線だけでは説明できない特殊な市場
新規登録件数と成約㎡単価の推移(12ヶ月移動平均)
需給曲線の理論では、需要が供給を上回ると価格は上昇し、逆に供給が需要を上回れば価格は下落します。しかし、上のグラフを見ると、価格は供給の山や谷とは必ずしも連動していないように見えます。では、これはなぜなのでしょうか。
昨今では、建築費や土地代といった原価の上昇が新築マンションの供給価格を押し上げています。さらに、新築の供給数自体も大幅に減少しています。こうした要因が、中古マンション市場を活性化させている大きな背景です。本来、価格は需給によって決まるべきですが、マンション市場では「原価が先に上がり、その結果として中古価格も押し上げられる」という構造が強く、この点は需給曲線だけでは説明しきれません。
また、相場が下がりそうな局面では、売主が売り出しを控えることで在庫が減少し、結果的に価格下落が抑えられることがあります。この現象はコロナ禍初期に顕著に見られました。つまり、売主・買主の心理も価格形成に大きく影響を与えます。
加えて、低金利が続いていること、そして首都圏においては常に底堅い需要が存在することも、価格の下支え要因となっています。こうした背景を踏まえると、首都圏のマンション価格は、需給だけでなく、原価の上昇、売主・買主の心理、マクロ経済環境といった複数の要因が複雑に絡み合って形成されていると言えます。そのため、供給量の山谷と価格の動きが一致しない現象が生じているのです。
とはいえ、需給関係が意味を失うわけではありません。在庫や新規登録が増えれば売れ行きは鈍化し、逆に減れば競争が強まり、短期的な市場の温度感として価格に影響します。
したがって、市場を読み解くうえでは、新規登録件数や在庫件数の把握が欠かせない指標であることに変わりはありません。
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