マーケットレポート
マーケットレポート2026, 02
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年収倍率から読み解く、いまの住宅市場と取得環境の変化
住宅価格の動向を語る際、「価格が上がった・下がった」といった点に目が向きがちですが、実際の購入判断において重要なのは、その住宅が「どれだけ買いやすいか」という視点です。物価が上昇していても賃金が上昇していれば負担感が小さいのと同様に、住宅価格が上昇しても所得が伸びていれば、住宅購入のハードルが必ずしも高まるとは限りません。
そこで、「買いやすさ」を測る判断材料のひとつとして注目されているのが、株式会社東京カンテイが公表している「年収倍率」です。年収倍率とは、マンション価格がそのエリアの平均年収の何倍に相当するかを示す指標で、数値が高いほど住宅取得のハードルが高い市場であることを意味します。住宅価格と世帯年収をあわせて見ることで、実際にどの程度購入しやすい環境にあるのか、取得環境の変化を把握することができます。
年収倍率は上昇傾向
東京カンテイのデータを見ると、全国的に年収倍率は上昇傾向にあります。その背景には、建築費の高止まりや用地取得コストの上昇に加え、低金利環境の長期化に伴う住宅価格の上昇など、さまざまな要因が挙げられます。
新築・中古マンションの年収倍率の推移(全国)
新築と中古の価格差に地域ギャップがある
年収倍率は、新築マンションと中古マンション(築10年)のそれぞれについて算出されています。一般的には、新築マンションの方が価格水準が高く、年収倍率も高くなりやすい傾向があります。しかし近年のデータを見ると、新築と中古の年収倍率の差が縮小している地域が増えていることが分かります。東京都は1.01と、新築と中古マンションがほぼ同水準となっています。上位には、滋賀・京都(1.09)、大阪(1.18)、神奈川(1.30)など、大都市およびその近隣エリアが並びます。これらの地域に共通しているのは、「マンション化率が高いエリア」である点です。
都道府県別新築・中古マンションの価格差(新築価格÷中古価格)
マンション化率が高いエリアでは、マンションに居住する世帯が多く、マンション需要も相対的に高い傾向があります。こうした地域では、近年の中古マンション価格の上昇を背景に、新築と中古の価格差が縮小している様子が見られます。この傾向は、下記の散布図からも確認することができます。
マンション化率と新築・中古マンションの価格差の散布図(2024年)
まとめ
全国的に年収倍率が上昇している現在、住宅市場は「高い・安い」という単純な尺度だけでは語れなくなっています。特に注目すべきは、新築と中古の年収倍率差が縮小している地域が増えている点です。これは、新築マンションだけでなく、中古マンションについても取得ハードルが高まっていることを意味します。従来のように「中古なら手が届く」という前提は、必ずしも成り立たなくなりつつあると言えるでしょう。
また、マンション化率の高いエリアでは、新築と中古の価格差が小さくなりやすい傾向が見られました。供給量が多く、立地や利便性が重視される都市部ほど、築年数による価格差が生じにくく、年収倍率も高止まりしやすい構造が浮かび上がります。
不動産投資家にとって重要なのは、価格水準そのものよりも、「どのエリアで、どの価格帯の住宅が買われにくくなっているのか」を見極めることです。年収倍率の高止まりは、賃貸需要が底堅く推移する可能性を示すサインとして、投資判断の材料のひとつになり得るでしょう。
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投資をする際はお客様ご自身でご判断ください。当社は一切の責任を負いません。 - 本マーケットレポートに掲載されている情報は、2026年2月1日時点公表分です。
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