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仙台市の不動産市場動向|現状分析と今後の見通し

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仙台市の不動産市場動向|現状分析と今後の見通し

仙台市は2011年、東日本大震災に見舞われ、被害の大きかったエリアの復興に尽力してきました。復興事業がほぼ完了した2019年には「せんだい都心再構築プロジェクト」を策定し、都心の再開発に着手しています。
プロジェクトの第1号として、2023年には「アーバンネット仙台中央ビル」の完成があり、つづいて、仙台駅エリア、青葉通・一番町エリア、勾当台・定禅寺通エリアを中心に、東北の玄関口にふさわしい街づくりを展開しています。
首都機能の分散や本社機能の移転候補地としても有力視される、仙台市の不動産市場について現状と今後の見通しを解説します。

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目次

  1. 仙台市のオフィス市場動向
    1. オフィスビル|売買市場の動き
    2. オフィスビル|賃貸市場の動き
    3. 注目を集めるエリア
  2. 仙台市のマンション市場動向
    1. マンション|売買市場の動き
    2. マンション|賃貸市場の動き
    3. 注目を集めるエリア
  3. オフィスとマンションの変動要因(見通し)
    1. 機能強化する3つのエリア
    2. 老朽化したオフィスの建替えが課題
    3. 若い世代に焦点をあてた街づくり
  4. 2030年完成のせんだい都心再構築プロジェクトに期待
仙台市のオフィス市場動向

仙台市は「地方4市」と称される、札幌、福岡、広島と並ぶ主要都市です。東北地方の中心であり上場企業15社が本社を置いています。総事業所数は4万7千件を超えており、宮城県内の事業所の約半数が仙台に拠点を置いています。ここでは企業活動の基盤となるオフィスの市場動向について解説します。

新規供給オフィスは2024年に約4,000坪が、2025年に入ると6月に約2,500坪の竣工があり、その後年内の供給予定はなく落ち着いている状況です。

仙台市のオフィス資産総額はJ-REITの保有資産額から推定すると、およそ1,300億円と推測されますが、売買市場において話題となる取引データは公表されていません。

流通市場における売買について不動産情報ライブラリからデータを抽出すると、2023年は20件で88億円、2024年は17件で105億円の実績があります。しかしながら総資産額から比較すると取引規模が小さく、オフィスの流動性は低いと言えます。

2027年以降になると複数のオフィスの新規供給が予定されているため、賃貸取引の活発な動きが生じると、既存ビルの売買取引にも影響を与える可能性はあるでしょう。

また投資対象としての評価において指標とされる、不動産研究所の「第52回 不動産投資家調査®(2025年4月現在)」によると、仙台市は「期待利回り」は5.0%と札幌よりも大きいものの、主な政令指定都市のなかでは評価が下位となっています。

出典:一般財団法人日本不動産研究所「第52回 不動産投資家調査®(2025年4月現在)」

関連記事:札幌市の不動産市場動向|現状分析と今後の見通し

仙台ビジネス地区における賃貸市場の状況について、まず空室率の推移を確認します。

空室率はオフィスビルの新規供給量が空室率に影響を与えます。

仙台オフィス平均空室率推移(単位:%)

出典:三鬼商事「仙台ビジネス地区」より作成

空室率は2024年9月まで6%台前半を推移し、10月以降には6%前後まで若干の改善があり、しばらく6%を割込む状況がつづいていました。しかし2025年6月の新規供給により6.15%まで上昇していますが7月に入り若干改善しました。

今後2026年末までの新規供給は1月に約1,000坪が予定されているのみであり、空室率は徐々に改善されていくと予測されます。

賃料は平均で9,400円台/坪を推移(2025年7月時点)しており、わずかな上昇傾向となっていますが、今後も大きな変化は少ないと思われます。原因としては新規供給が少ないため、賃料を上げる動きが弱いと言えそうです。

一方、地区別では「駅東地区」は築浅ビルが多く、空室率が高いわりに賃料が高い傾向となっています。さらに今後2030年まで再開発事業が継続し、新規供給の増加に伴い賃料水準はより高くなる可能性があります。

注目されるオフィス市場エリアとしては、新規供給が今後もつづく「青葉区」です。

青葉区内にはすでに18階以上の超高層建物が多く建っており、エリア別では「中央」と「一番町」にそれぞれ6棟が集中しています。そのうち中央エリアはすべてがオフィスビルであり、仙台ビジネス地区の中心と言えるでしょう。

また2023年には、仙台市が進める「せんだい都心再構築プロジェクト」の第1号となる「アーバンネット仙台中央ビル」が完成しており、スタートアップ企業の支援や次世代放射光施設の産業利用促進の拠点としても期待されています。

中央エリアにおける今後の新規供給としては、2026年1月に中規模ですが新築ビルが完成予定なっています。また、当初2027年度に完成予定だった「さくら野百貨店仙台店跡地」の再開発は、建設費高騰などの影響によりいったん見送られていましたが、2025年度内に解体工事へ着手することが発表されました。

さらに、2029年には読売仙台ビルが建替えられ、約12,000坪の複合施設が完成する予定になっており、再構築プロジェクトにおいて青葉区中央は、今後もオフィス市場の重要エリアとなっていきます。

仙台市のマンション市場動向

仙台都心部での再開発により人口の増加も期待されます。仙台に集まるビジネスワーカーが必要とする住宅環境にも注目しなければなりません。ここでは、賃貸マンション市場について解説します。

仙台市の賃貸マンション売買取引は活発な状況となっています。仙台市全体の賃貸マンション資産総額は各種データから500億円程度と推定されますが、流通市場では2023年に67件で142億円、2024年は47件で120億円と、年間の取引規模は比較的大きいと言えるでしょう。

背景には、若い世代の人口増加など賃貸マンションへの需要が大きく、投資対象エリアとしての評価が高いといった理由があります。

一方、都市の規模として仙台と近い札幌や福岡と比較すると民泊登録件数が少ないことは、特筆すべき点です。背景としては宿泊旅行市場の回復が鈍く、宿泊施設の不足感が札幌や福岡ほどないことがあげられるでしょう。

マンション賃貸市場は人口動向の影響を受けますが、仙台市の2018~2024年の人口推移を住民基本台帳で確認すると、ほぼ横ばいからわずかな上昇となっています。世帯数は人口推移よりも変動率が大きく上昇傾向となっています。

仙台市の人口・世帯数推移(単位:万)

出典:仙台市「住民基本台帳人口」より作成

人口および世帯数の増加に大きな影響を与えるのは転入超過ですが、2024年までの過去7年間でもっとも転入超過が多かったのは2022年であり、その後は低下しています。

仙台市の転入超過数(単位:人)

出典:仙台市「住民基本台帳人口」より作成

変動の要因は新型コロナ感染症による転出および転入とみられ、感染状況が悪化した2021年は転入超過が最小となり翌2022年に最大となっています。

今後も世帯数の増加が見込まれるため住宅需要は拡大し、分譲マンションでは1億円を超える高額な物件供給もあり、賃貸マンション需要に影響を与えています。

そのため賃貸マンション賃料にも上昇傾向がみられ、青葉区ではm2単価が2,900円台となっています。また区による賃料格差が比較的大きく、泉区は1,200円台/m2に留まっています。

仙台市の賃貸マンションの稼働状況について、民間統計による空室率データでは約15%(執筆時)となっていますが、2023年10月時点の「住宅・土地統計調査」のデータから分析すると、賃貸住宅全体(公営住宅・戸建含む)での空室率は19.2%と高い水準です。

空室率の高い理由としては築古物件が多いことが考えられ、3階建て以上の賃貸共同住宅のうち約2割が1990年以前の物件という現状です。オフィス市場と同様、賃貸マンション市場でも老朽物件の割合が多いと考えられます。

一方、J-REITにおける仙台市の保有物件の稼働率は高い状況がつづいており、築浅で良好な居住環境が確保できる物件には需要が集中する傾向が伺えます。

賃貸マンション市場として注目したいエリアは仙台駅東口です。

仙台市は2011年の東日本大震災により、住宅地における被害が大きくなっていました。震災後およそ8年にわたり住宅地の復興に力を入れてきましたが、2019年以降は「せんだい都心再構築プロジェクト」に基づき、住宅分野における再開発は新しいフェーズに入っています。

仙台駅東口エリアは西口エリアとの格差が大きく、再開発の気運が生まれたのは2015年の地下鉄東西線の開業がきっかけです。開業時期にあわせ「東西自由通路」が拡幅され、商業施設や宿泊施設が計画されました。

そして前述した「せんだい都心再構築プロジェクト」に連動するように、2023年には仙台駅東口に東北地方最大の家電量販店が開業、被害の大きかった宮城野区、若林区復興のシンボルともなっています。

さらに2024年には耐震性に優れた「仙台KSビル」が完成し、仙台駅東側における企業・事業所の集積が図られ、住宅需要の拡大にも寄与しています。

今後は「仙台駅東口賃貸開発プロジェクト」により、14階建て・168戸の賃貸マンションが2026年に完成する予定であり、仙台駅東口は西口と一体化した仙台市の中心拠点を形成することになるでしょう。

仙台市の今後の不動産市場を見通すうえで、まず地価動向を確認しておきます。

下図は仙台市の主要地点(仙台駅西口付近、地下鉄東西線「青葉通一番町駅」付近、地下鉄東西線「宮城野通駅」付近)における、2019年以降の地価公示価格の推移です。

仙台市主要地点公示価格推移(単位:万円)

出典:「不動産情報ライブラリ」より作成

2019年比では、仙台駅西口付近は約3割の上昇、青葉通一番町駅付近仙台銀行ビル地点は約4割の上昇ですが、宮城野通駅付近宮城野センタービル地点は約9割の上昇となっています。

再開発事業の進展と将来への期待感もあり、大きな地価上昇が確認できます。

一方、仙台市はわずかながら人口増加がみられ、県内外からの転入超過がつづいていると述べましたが、首都圏との転出入に限定すると転出が多く転入超過数はマイナスになっています。

下図は首都圏との転入超過数推移をグラフにしたものです。

仙台市の転入超過数推移(単位:人)

出典:仙台市「令和6年仙台市の人口動向」より作成

コロナ禍の期間は転出数が減少していますが、2023年以降は転出が増加し2024年には転入超過がマイナス5,018人となっています。

今後の仙台市の成長には、首都圏への転出などによる人口流出を抑制する政策が必要であり、そのような視点からオフィスおよびマンション市場の見通しを解説します。

仙台市の再開発は前述したように「せんだい都心再構築プロジェクト」に基づき進められます。同プロジェクトでは都市機能を強化する3つのエリアを定めています。

仙台駅を中心としたエリアでは、すでに東口にヨドバシ仙台第1ビルが開業しており、西口では「さくら野百貨店仙台店」跡地の開発により、東北地方の玄関口としてふさわしい商業機能・業務機能の集積を図っています。

青葉通・一番町エリアでは、電力ビルや明治安田生命仙台ビルが解体され、跡地には高さが約180mになる複合施設を計画する「一番町三丁目七番地区第一種市街地再開発事業」により、賑わいや出会いを生み出す仙台の中心エリアが形成されます。

勾当台・定禅寺通エリアは多彩な市民活動を支え、活発な交流が生まれるエリアとして位置づけられています。再開発の具体像としては、仙台市役所の建替えや勾当台公園の再整備に加え、大規模商業施設が2025年秋に開業予定となっています。さらに「仙台第一生命ビルディング」跡地には、このエリアとして初の高機能オフィスビルが2028年に完成予定です。

仙台は東京から新幹線で1時間30分ほどと、距離的に非常に近い都市となっています。

大きな災害時には首都機能を補完する最適な立地という面があり、東京に集中する企業の本社機能を分散する上でも望ましい候補地と言えます。

しかしながら仙台市内にあるオフィスビルの約4割は、1981年以前の旧耐震基準の建物と言われます。また機能面において劣る築30年を経過したオフィスビルは約6割を超えており、首都圏からの本社機能移転需要に対し十分な供給が行われていません。

この状況は視点を変えると、仙台市内に老朽不動産を保有する企業にとっては、再開発の波に乗り、資産のバリューアップや高値での売却(資産の組み換え)を実現する絶好の機会とも言えます。

また、2019年に策定した「せんだい都心再構築プロジェクト」により、震災復興からシフトチェンジを行い、現在ようやく再開発の歩みが目に見えるようになってきました。

規模の大きなオフィスビルの建替えが進むと、中小のオフィスビルへの影響も生まれ、仙台市全体でのオフィス建替えが期待できます。

再開発や個別のビルの建替えにより、高機能ビルの供給が今後すすんでいくと同時に、仙台に本社機能を移転するための支援政策も必要になってきます。

仙台市では現在、企業立地促進に関する助成制度を実施しており、事業所などの新設・増設・市内移転に対し、取得および賃借の際の新規投資などに助成を行っています。

助成の主な内容は以下のとおりです。(2024年4月3日時点)

  • 不動産の取得または賃借については、固定資産税等相当額の100%を3~5年間交付
  • 製造業を営む市内の中小事業者が行う設備更新については、固定資産税等相当額の100%を1年間交付
  • 事業所の新設などに伴う社員の新規雇用や異動については、社員1名あたり10~100万円を1年間交付

対象となる業種は、製造業、物流業、研究開発施設、本社機能などの8種が定められており、ソフトウエア業・デジタルコンテンツ業・データセンターやカスタマーセンターといった、成長分野の企業に対する積極的な姿勢が伺えます。

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仙台市の特徴として、20歳代の人口比率が高く、年々増加していることがあげられます。さらに生産年齢に対する比率が63%以上と高く、高齢化率も比較的低い都市と言えます。

20歳代の人口比率が高い理由には、仙台へのUターン・Jターンが多いこともあげられます。仙台は東京へのアクセスがよく、生活環境や気候条件もよいなどに加え、教育機関が多いことなども若者世代に評価されるポイントになっています。

学生生活を仙台で過ごした若者が、卒業後は首都圏で働くなかで東北地方の魅力を再認識し、数年後に戻ってくるなどのパターンがあるのでしょう。

以上のように、若い世代が多いという特徴はほかの地方都市と比較し、労働力の確保や事業の持続性など企業にとっては大きな魅力といえます。

一方、懸念材料としては、本章の冒頭で述べた首都圏への転出超過が高い点であり、下図のとおり30歳以上は人口の減少が確認できます。首都圏に比べると大企業が少なく賃金格差があり、子育て世代には教育環境の面などでより豊かな選択肢を求めるなど、首都圏への転出に対する動機付けが増加する年齢層だと推測されます。

ただし、東北5県やその他の地方に比べ、転入超過が維持されている点については、着目する必要もあるでしょう。

仙台市の年代別人口推移(単位:人)

出典:仙台市「年齢(5歳階級)別住民基本台帳人口」より作成

今後の街づくりのポイントとして、30歳以降の世代が首都圏に転出する傾向を抑え、仙台に留まることのできる雇用機会の増大や街の魅力づくりが大切と言えるでしょう。

関連記事:都心回帰が与える影響|都心部への人口集中により不動産市場はどう変化する?

これまで仙台市におけるオフィスビルの新規供給は、比較的少ないボリュームであり、年平均数千坪となっています。1万坪を超える大量供給が行われたのは震災直前の3年間でした。

その後、中心部での新規供給は低い水準で推移し、2019年に策定された「せんだい都心再構築プロジェクト」により、本格的な都心部における都市機能の再開発がスタートしています。

同プロジェクトでは、都心部の重要エリアを3つに定め、それぞれ特徴があり多様性を感じさせる街づくりが計画されています。

若い世代の人口比が多い仙台市の特徴を活かし、IT分野の成長産業にウエイトを置いた企業誘致など、2030年をゴールとした街づくりの成功に期待が持たれます。

一級建築士、宅地建物取引士
弘中 純一 氏
Junichi Hironaka

国立大学建築工学科卒業後、一部上場企業にてコンクリート系工業化住宅システムの研究開発に従事、その後工業化技術開発を主体とした建築士事務所に勤務。資格取得後独立自営により建築士事務所を立ち上げ、住宅の設計・施工・アフターと一連の業務に従事し、不動産流通事業にも携わり多数のクライアントに対するコンサルティングサービスを提供。現在は不動産購入・投資を検討する顧客へのコンサルティングと、各種Webサイトにおいて不動産関連の執筆実績を持つ。

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