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スマートシティとは?最新の再開発動向とCREにもたらす資産価値の変革

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スマートシティとは?最新の再開発動向とCREにもたらす資産価値の変革

現代社会は、人口減少・大規模災害・インフラの老朽化・環境問題など、多岐にわたる複雑な課題を抱えています。これらの社会的課題に対し、科学技術を活用して持続可能な社会を都市全体で構築しようとする取り組みが、現在、世界的に注目されています。
それが「スマートシティ」です。スマートシティは単なる未来の都市構想ではなく、企業活動、さらにはCRE戦略とも深く関わる、今後の企業にとって重要なテーマです。
この記事では、スマートシティの定義から最新の再開発動向、そしてそれが企業の保有不動産に与える変化について解説します。

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目次

  1. スマートシティとは?定義と目的
    1. スマートシティが注目される背景
  2. スマートシティ関連の再開発動向と事例
  3. スマートシティがもたらすアセットタイプ別の価値変化とメリット
  4. スマートシティの技術はCREに変革をもたらす
スマートシティとは?定義と目的

スマートシティとは、IoT・AI・ビッグデータなどの先進技術をインフラとして活用し、都市が抱えるさまざまな社会課題の解決、都市機能の最適化、そして市民生活の質的向上を目指す都市のことです。

国土交通省は、スマートシティを次のように定義しています。

「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」。

スマートシティは、単に最新技術が導入された都市ではなく、都市空間とビジネス環境を根本から変える「新しいインフラ」を構築することを意味します。都市の抱える少子高齢化・環境問題・災害リスクといった複合的な課題を解決し、持続可能性を高めるために不可欠な手段となっています。

言い換えれば、スマートシティ化の波に乗ることは、ESG(環境・社会・ガバナンス)戦略の強化、従業員のウェルビーイング向上、不動産の市場競争力向上に資する重要なテーマといえるでしょう。

従来の都市開発が、道路・上下水道・建物といった物理的なインフラ整備に留まっていたのに対し、スマートシティはデジタル技術を基盤としている点が特徴です。

要素 従来の都市開発 スマートシティ
基盤となるもの 物理的な建物や道路などのインフラがメイン データ活用やネットワークのようなデジタルインフラがメイン
目的 物理的な都市機能の充足や効率化 住民の都市生活の向上や、ウェルビーイング
アプローチ 物理的な安定性や堅牢性はあるが、時代の変化には住民やサービスが合わせていく必要がある データ活用方法やサービスを動的に変更できるため、都市の方が住民や時代の変化に合わせることが可能

従来の都市開発が「すべての人に同じ機能を提供する既製品型」であったとすれば、スマートシティが目指すのは、デジタル技術を駆使することで「一人ひとりのライフスタイルに応じて変化し、快適さを追求するオーダーメイド型の都市」です。

このように、デジタルインフラを基盤に据えたスマートシティは、私たちの価値観や生活様式、企業活動のあり方を根本から変える可能性を秘めています。しかし、一人ひとりの体験価値に寄り添い続けるには、新たな運営の枠組みやルールも欠かせません。

スマートシティの考え方は、時代の変化を吸収し、進化し続ける「社会のOS」です。デジタル・ガバナンスという規律を含んだこのOSは、一人ひとりの体験価値が街の発展へつながり、社会を常に最適化し続ける新たな基盤となるでしょう。

企業の不動産担当者目線でいえば、この変化を理解することは極めて重要です。スマートシティのインフラと連携しない、あるいは古い価値観に基づいたままの保有不動産は、時代のニーズに取り残され、価値を維持・向上させる上でのボトルネックとなるリスクが高まります。

出典:国土交通省「スマートシティに関する取組」

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スマートシティが現代において強く求められている背景には、「社会的な課題の深刻化」と「技術面の成熟および生活様式の変化」の2つの側面があります。

まず、社会的な側面では、少子高齢化による人口構成の変化に伴う労働力不足や社会保障費の増大、頻発する自然災害に対するレジリエンス(強靭性)の強化と都市機能の維持、そして地球規模の環境問題への対応やカーボンニュートラルの実現といった、複合的かつ深刻な課題に都市が直面しています。

次に、技術的な側面では、5G・IoT・AIなどのICT技術が社会実装可能な水準に達し、都市のデータを収集・解析し、活用できる環境が整いました。また、テレワークの普及や多様な移動手段へのニーズの高まりなど、人々のライフスタイルの変化もスマートシティの推進を後押しする要因の一つとなっています。

変化の激しい現代において、都市にもこれらの課題に対して、データに基づいた迅速かつ柔軟な対応が求められています。技術の進歩によってこれらが実現可能になったことから、スマートシティの必要性が一層高まっているのです。

一方、スマートシティに似た概念として「スーパーシティ」があります。スーパーシティは、技術の効率化を目指すスマートシティとは一線を画し、「実現したい未来の生活像」を起点とする、大胆で包括的な都市の変革構想です。

スマートシティは既存都市のデジタル化による段階的な進化であり、スーパーシティは理想の未来都市を目指した抜本的な再構築といえます。前者が「改修」なら、後者は「建て替え」のようなイメージです。

【スマートシティとスーパーシティの違い】

スマートシティ スーパーシティ
開発スタンス
  • 既存都市の部分的なリノベーション型
  • 既成の枠組みを基礎として、デジタルを装備し個別課題を解決する
  • 街ぐるみで課題を解決する、新設計型
  • 各種規制を撤廃して街のルールから設計し、包括的に住民が抱える課題を解決する
法規制
  • 原則、現行法の範囲内で行われる
  • 規制改革(特例制度)を活用し、法規制を取り払う
ビジネスの性質
  • 既に市場が確立されているため、低リスク
  • 着実に収益を積み上げることが可能
  • 未踏の市場であるため、高リスク・高リターン

スーパーシティのアプローチは、住民の視点から「実現したい未来の生活」を具体的に描き、その実現を妨げる既存の規制や制度を打破することにあります。

目的は、医療・教育・移動・決済などの分野横断的かつ包括的な変革です。例えば、従来の都市では難しかった「自動運転が当たり前の街」「自宅で高度な医療が受けられる街」といったサービスを実現することにあります。

こうした大胆な都市計画の再編は、民間単体や現行法の枠内では容易ではありません。そこでスーパーシティでは、国の「国家戦略特区」などの規制改革制度(特例制度)を柔軟に活用します。この特例制度によって法的な障壁を取り除き、エリアの潜在能力を最大限に引き出すことで、従来の都市開発では実現困難だった「社会システムそのものの再構築」を可能にするのです。

また、スーパーシティは、特定機能の改善にとどまらず、町全体のインフラ・サービス・データ連携の仕組みを根本から入れ替えることを目指しています。

これは、これまでの街のルールを一度白紙に戻し、デジタルの力で街の可能性を最大限に引き出す「攻めの変革」です。このルールの刷新によって、街を構成する不動産は「建てて終わりの不動産」から、時代の変化に合わせて価値が増え続ける「成長するプラットフォーム」へと生まれ変わるのです。

CRE戦略目線において、前章で懸念した「ボトルネック」を解消する鍵は、保有物件を地域のデータ基盤とつながる「進化し続ける資産」へと再定義することにあります。規制緩和を追い風に古いルールの制約を破ることが、時代のニーズを捉える一歩となるでしょう。

未だ正解のない「街の運営」は、自社の不動産を通じて、理想の「街の体験価値」を自ら定義できるチャンスでもあります。このアップデートのプロセスに主体的に参画していくことで、単なる「不動産」を超えた、次世代の資産価値を創り上げる源泉となるはずです。

スマートシティ関連の再開発動向と事例

スマートシティへの取り組みは、再開発プロジェクトの主要な柱となっています。ここでは、実際に進行中の再開発プロジェクトの具体的な事例を紹介します。

1. シームレスな都市体験モデル

エリア専用アプリによって、複合施設全体が一つのサービスとして機能する事例を紹介します。このアプリ一つで、ポイント管理からレストラン予約、イベントの申し込みまですべてを完結できるようになりました。

従来との決定的な違いは、利用者が情報を探すのではなく、パーソナライズされた必要な情報が自動的に届くようになった点です。

この情報提供の革新を可能にしたのは、2つの仕組みです。

まず、これまで個別に運用されていた施設ごとのサービスを、一つのシステムに統合しました。複数のカードの所有や登録が不要となり、利用者は一つのIDで各施設のサービスを利用できる仕組みです。

次に、利用者の位置情報や過去の利用パターンを分析することで、一人ひとりに合わせた情報配信を実現しました。当該の場所や時間に最も役立つ情報が、検索の手間なく手元に届く仕組みです。

結果として、個別に存在していた施設群が、一体感のある生活空間へと生まれ変わりました。運営側は利用者の行動パターンから新たなビジネスチャンスを発見でき、利用者は日々の移動や選択にかかる時間の大幅な短縮が可能となりました。

これにより、不動産は「場所の提供」に加えて、体験価値を設計する役割が強まっています。建物そのものが、利用者のニーズを先回りして最適な提案を届けてくれる存在へと進化しているのです。

不動産投資の観点では、このアプリによってエリア全体の魅力が高まったことで、投資家にとって安定した収益を生み出しています。とくに、デジタルIDによるデータ連携が、オフィス・商業・文化施設といった異種アセット間の連携を可能にし、複合開発の価値を最大限に引き出しています。ただし、このような連携効果を発揮するためには、オフィスだけでなく商業施設や文化施設など、多彩なテナントミックスが存在することが条件です。

企業にとっては、この快適な環境は、従業員にとって魅力的な職場環境として福利厚生の一環となります。また、働きやすさと生産性の向上が両立できるため、優秀な人材の確保にもつながり、このエリアへの移転を決定するうえでの大きな要因になり得るでしょう。

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2. 官民学連携による地域課題解決モデル

次は、行政・企業・大学が一体となって街づくりを進める事例を紹介します。この事例のような街では「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」という3つの課題に対し、データとテクノロジーを活用した解決策を導入しています。

従来の開発との違いは、街全体を実証実験の場として機能させている点です。例えば、エネルギー使用量を街区全体で最適化するシステムや、住民の健康データを活用した予防医療サービスなど、未来の都市機能を実際の生活の中で検証しています。

この取り組みが実現できた理由は、3つの主体がそれぞれの強みを活かした連携体制にあります。

行政は規制緩和と公共インフラを提供し、大学は最先端の研究成果と技術を投入、民間企業は事業化とサービス提供を担当することで、アイデアから実装までのスピードが格段に向上しました。

結果として、単なる住宅地ではなく、社会課題の解決策を生み出し続ける「生きた実験都市」が誕生しました。住民は最新技術による快適な生活を享受しながら、同時に未来の街づくりに参加する貴重な体験を得ています。

このようなフィールドは、企業のESG戦略を具体化する理想的な拠点となり得ます。進出企業にとって、ここでの活動自体が環境対策や社会貢献の実績になります。エネルギー効率や健康増進などの取り組みは、データによってすべて可視化されるため、投資家や顧客への説明も容易です。

さらに、大学との共同研究や新技術の実証実験を通じて、イノベーション創出の機会も豊富です。単なるオフィスではなく、企業の成長戦略と社会的責任を同時に実現できる場といえるでしょう。

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3. FUKUOKA Smart EAST(九大箱崎キャンパス跡地)

続いて、福岡市東区箱崎の九州大学跡地(約50ha)を、最先端技術の実証実験場として再開発する事例を紹介します。この跡地は、天神エリア・博多駅・福岡空港・博多港へのアクセスに優れた好立地に位置しており、「FUKUOKA Smart EAST」として街全体のスマートシティ化を進めています。

最大の特徴は、都市課題の解決に向けた実証実験を常時実施している点です。交通分野では自動運転バスや電動キックボードのシェアリング、物流分野ではドローン配送や自動配送ロボットによるラストワンマイル配送の実装が進んでいます。

また、直近では、介護・福祉現場におけるDXの実証も行われるなど、少子高齢化社会の課題解決に向けた取り組みが加速しています。インバウンド対応では多言語案内システムなど、実際の街で未来のサービスを検証する予定です。

さらに、企業の製品やサービスのPRを支援する「Smart East PoC Program」など、企業参画を促進する仕組みも充実しています。2020年には世界最大の電子機器見本市「CES」に日本の自治体として初めて出展し、国際的な関心を集めました。

単なる再開発地ではなく、新技術の社会実装を加速させる「オープンイノベーション拠点」が誕生し、スタートアップから大企業まで、さまざまな企業が実験データと事業化の機会を求めて参画しています。

この街の魅力は、アイデアから実証実験、そして事業化までを一気通貫で実施できる環境です。規制緩和により、通常は困難な実験も迅速に実施可能なため、新サービスの早期の市場投入も実現しやすいでしょう。

また、特筆すべきは、さまざまなプレイヤーが同じ場所で活動することで生まれる新たなイノベーションの創出であり、異業種連携による革新的なソリューションが続々と生まれています。このように、福岡の都市課題解決に貢献しながら、全国展開可能なビジネスモデルを構築できる戦略的拠点として注目されています。

関連記事:福岡市の不動産市場動向|現状分析と今後の見通し

スマートシティがもたらすアセットタイプ別の価値変化とメリット

スマートシティへの取り組みは、企業が保有する不動産の種別ごとに異なる価値変革をもたらします。それぞれのアセットタイプでどのような変化が起きているのか、具体的に見ていきましょう。

1. オフィスビル:ウェルビーイング向上と最適化されたBM(ビルマネジメント)業務

スマートシティにおけるオフィスビルでは、「快適性」「効率性」「環境配慮」の3つの価値を同時に実現できます。

まず「環境」と「コスト」の両立です。ビル内のエネルギーマネジメントシステム(BEMS)をエリア全体のスマートグリッドと連携させることで、光熱費を削減しながらCO2排出量も大幅に削減できるようになりました。

次に業務効率の改善です。センサーやAIが設備の状態を常時監視し、清掃やメンテナンスの最適なタイミングを判断します。これにより、管理コストの効率化と施設の品質を両立させています。実際に、最新のスマートビルではAIによる予測メンテナンスの導入で、維持管理コストを従来と比べて10〜20%程度削減できた事例も報告されています。

そして最も重要なのが、従業員体験の向上です。エリア内の混雑情報やサービス情報をリアルタイムで提供することで、ストレスの少ない快適な働き方を実現します。蓄積されたデータを分析すれば、最適なオフィス面積やレイアウトの判断も可能になるでしょう。

ただし、これらの技術には留意すべき点もあります。プライバシーの保護・システム障害時の対応・個人情報の管理など、技術依存特有のリスクに対して、適切なセキュリティ対策とデータガバナンスの確保が不可欠です。

こうしたプライバシー配慮の動きは、ハード面だけでなくソフト面でも進んでいます。例えば、近年の宅地建物取引業法改正により、事務所に掲示する業者票から専任の宅地建物取引士の氏名掲示が不要となりました。

このような動きは、デジタル化が進む社会において、個人のプライバシー保護と安全な業務環境の確保を両立させる動きの一環であり、スマートビルにおける「働く人の安全・安心」を支えるためのスタンダードになっていくでしょう。

2. 物流施設・工業地:サプライチェーンの強靭化と効率化

物流施設や工業地では、スマートシティ技術がサプライチェーン全体の最適化を実現しており、その効果も各所で顕在化しています。

配送の効率化では、交通情報と需要予測データを組み合わせて最適な配送ルートを自動的に出力する仕組みが一般化しています。さらに、自動配送ロボットやドローンによるラストワンマイル(最終区間)配送により、人手不足の解消と配送時間の短縮を両立させています。

倉庫管理においても、AIとセンサーが在庫状況を常時把握し、発注から入出庫までがほぼ自動化されています。人的ミスを削減しながら、在庫回転率を大幅に向上させられるでしょう。

また、物流施設の広大な屋根を活用した太陽光発電や、エネルギーマネジメントシステムの導入により、環境認証の取得も容易になりました。これは、ESG投資の観点から不動産価値の向上に直結する重要な要素となっています。

公的な環境認証の取得は、機関投資家からの選好性を高めるだけでなく、不動産鑑定評価においても、市場性や収益の安定性として肯定的に評価され、鑑定評価額のプラス要因となる傾向が強まっています。

関連記事:物流施設の需要拡大!物流施設や市場の基本を理解して活用を検討してみよう

3. 商業施設:顧客体験の向上と新たな収益源の創出

商業施設では、デジタル技術が顧客体験と収益構造を根本から変えています。

位置情報・顔認証・キャッシュレス決済などから得られるデータを分析することで、顧客一人ひとりの行動パターンを把握し、個人の好みに合わせたプロモーションを最適なタイミングで提供できるようになりました。この顧客体験の向上は、リピート率の向上と滞在時間の延長につながり、売上の増加に直結しています。

さらに、遊休地をセンサー連動のスマートパーキングとして活用するなど、データを活用した新しい収益モデルも生まれています。データ活用による付加価値サービスが賃料収入以外の新たな収益源となっているのです。

4. 複合施設・複合街区:アセットを越えた「相乗効果」の創出

複合的な開発エリアにおいては、建物ごとの個別最適を脱し、エリア全体でリソースやデータを共有・統合することが、資産価値を最大化させる鍵となります。

複数の用途が混在する街区では、個別のアセット管理を超えた、エリア単位での「リソースの最適化」が最大の価値となります。例えば、オフィスや住宅といった用途ごとの需要ピークを街区全体で調整するスマートグリッドの導入は、単体ビルでは不可能なレベルの環境性能とコスト削減を両立させることができるでしょう。

また、デジタルID等によるシームレスな移動支援は、エリア内の回遊性や滞留機会を高め、施設全体の収益機会を底上げする効果も期待できます。

さらに、エリア内の人流や車流、消費傾向を可視化する「街のデータベース」としての機能も重要です。近年、愛知県岡崎市などで実証が進む「不動産活用効果予測」のように、客観的なスマートデータをテナント誘致や街区選定に利活用する動きが始まっています。

出店候補者に対し、期待人流や売上予測をデータとして提示することで、リーシングの精度向上や出店意向の促進、さらには出店後の運営高度化までをシームレスに実現できます。

こうしたデータの蓄積とインフラの統合は、エリア全体に強固な持続可能性をもたらし、結果として時代に左右されない資産価値を維持するための強力な基盤となります。また、今後の開発・建築・出店計画の考え方を根本的に変える可能性すら感じさせるものです。

このように、スマートシティの技術は、各アセットタイプの特性に応じて異なる価値を生み出し、不動産の収益性と社会的価値の両方を向上させています。

さらに一歩踏み込めば、今後は物理的なアセットのスペックだけでなく、そこから生まれる「データの利活用価値」そのものが不動産の評価を左右する時代が訪れるかもしれません。不動産が生み出すデータをいかに資産価値に組み込み、新たな経営資源として活用できるか、その視点を持つことこそが、次世代の不動産価値を定義する鍵となるでしょう。

出典:国土交通省「8地区の先進的なスマートシティプロジェクトの支援を決定~令和7年度スマートシティ実装化支援事業の選定~」

スマートシティの技術はCREに変革をもたらす

スマートシティの時代は、もはや不可逆的な潮流になりつつあり、企業にとってCRE戦略の再構築は必須の課題です。

スマートシティの核心は、技術そのものよりも、その技術によって「いかに都市の持続可能性を高め、人々のウェルビーイングを向上させるか」という理念にあります。

企業の不動産担当者は、自社のビジネスモデルと保有不動産の現状をスマートシティの視点から再評価し、積極的にそのインフラと連携させることが求められます。具体的には、「アセットのデジタル化」「ESG対応」「従業員のQoL(Quality of Life)向上」の3点を軸に投資を決定することが推奨されます。

単独の取り組みでは限界があるため、地域住民や自治体、他の企業との連携(前述の官民学連携など)も視野に入れ、「参画するプレイヤー(企業)」「そこで暮らす人(地域)」「次世代の都市像を支える仕組み(自治体・社会)」が共に栄える「三方良し」の姿勢でCREを再構築することが、企業価値向上に向けた有効な戦略となるでしょう。

宅地建物取引士
佐藤 賢一 氏
Kenichi Sato

大学卒業後、不動産業界一筋。賃貸仲介・管理から売買仲介まで幅広い実務を経験した後、専門性を深め、プライム企業にて信託関連のオフィスビルや商業施設のAM・PM業務に従事。
現在は注文住宅会社の不動産部門責任者を務めつつ、多様な経験を活かし兼業ライターとしても活動中。不動産の実務から投資・管理戦略まで、多角的な視点に立ったわかりやすい解説を得意としています。

東急リバブル ソリューション事業本部では、最新の市場データを独自の視点で分析したレポート「不動産マーケットトレンド」を公開しています。

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